普段のコーディネートでは適当に服を選んでいて、色なんか気にしたこともない…。
自分の理想の印象はあるのに、うまくその雰囲気を出せない…。
こんな悩みにお答えします。
普段、自分たちの周りにある「色」
あなたの身の回りにも様々な色がありますよね。
ところで、世の中にある様々なモノの色は、実は人の心の動きによって「意図的に」デザインされていることを知っていましたか?
もしそれをご存知でないのであれば、まずは「色彩心理学」を知る必要があります。
これを知っていると、仮に服を選ぶ時に、人から見た自分の印象をコントロールすることができますよ。
色彩心理学とは
色が人間の心の働きにいかに影響するかを説明したもの。
先ほども言いましたが、日々私たちは色に囲まれて生活をしており、
物や場所などに存在する色によって知らず知らずのうちに気持ちや行動が誘導されている場合があります。
例えば、身近では犯罪率の多い街や自殺率の多い駅では青色の蛍光灯を設置しただけで犯罪率、自殺率が激減したという事例があります。
これは青色が感情の高ぶりを抑える効果があったからです。
このように世の中の作り手側にいる人達は、こういった色の持つ影響(色彩心理学)をもとに、物や場所のデザインを行なっています。
実は私たちがデザインとして捉えていたものが、無意識のうちに心理誘導するものであったら、面白いと思いませんか?
これは裏を返せば、色が与える心理作用を色彩心理学で知ることで、自分が人に与えたい印象へ簡単に変えることができるということも意味します。
色彩心理学の効果
色彩心理学を理解する上ではまず、色自体が持つ影響を知ることが大事です。
色が与える影響とは
色が与える影響は大きく分けて4つあります。
【心理的な影響】
暗記力、回想力、認識力が強化される。そして、色によって簡単に理解・学習・誘導などを促すことが可能になる。
【生理的な影響】
主に神経に影響を与える。ある研究によると、明るい赤は交感神経系に刺激を与えるため、血圧の上昇や、体感温度が2~3℃上昇すると言われている。
【感情的な影響】
色は感情の起伏に影響する。例えば太陽など黄色を見ると人は気持ちが和らぎ、森林から連想される緑や茶色は人を安心させる。
【文化的な影響】
国によって文化が違うのはもちろんだが、それによって同じ色でも印象が全く違う場合がある。例えば、日本では黄色を幸福の象徴として連想するのに対して、欧米では臆病というようなものを連想する。このように文化によって、色の印象の受け方は様々である。
色が持つ影響は主に4つに分けられますが、具体的に細かく色を見ていくと、それぞれどのような効果があるのでしょうか。
色が与える心理作用について
【赤】若さや力強さ、情熱的な印象を相手に与えます。
警戒心や注意喚起を促し、人間の感情的興奮や刺激などをもたらし、食欲増進や時間の経過を早めるような感覚などが効果としてあげられます。
【オレンジ】楽観的な印象を与えます。
消化や新陳代謝の促進などの作用があり、食欲増進にも繋がります。自律神経や血管なども刺激され、体が活発的になります。
【黄色】明るさや生命力、希望などの印象を与えます。脳や運動神経を活発にさせ、集中力を向上させる効果ももたらします。
【緑】情緒の安定や安心する印象を与えます。筋肉の緊張がほぐれることで、血圧が下がり、リラックス効果があります。
【青】爽やかさや冷静沈着な印象を与えます。精神的に落ち着いたり、体温の低下や痛みの緩和などの作用があります。
【紫】高貴、上品な印象を与えます。集中力の向上から運動神経の働きを抑制する効果があります。
【黒】力強さ、権威的、高級な印象を与えます。相手を威圧したり、力の象徴としての役割を果たします。
【白】潔白や清潔な印象を与えます。
だいぶ、色が持つ効果がわかってきましたね。
では、具体的な事例を使って「色」を見ていきましょう。
色が与える効果の例
例)膨張色と収縮色
以下の図を見てください。
どちらの方が体型がスリムに見えますか?
黒の方がスリムに、白の方は少しぼやけて見えませんか?
黒のように明度(明るさの度合い)が低い色を収縮色、白のように明度が高い色を膨張色と言います。
上記のように白だけでなく、オレンジや黄色は明度が高いため膨張色の部類に入ります。
一方で青や緑などは明度が低いため、収縮色の部類に入ります。
色が人間に与える影響はだいたい理解できたと思います。
最後に色で人の心はどう操られるのかを見ていきます。
④色で人はどう誘導されるのか
色で人が無意識に誘導される事例は多くあるが、今回は服装について取り上げてみる。
例えば、
例)交渉の時…黒色の服を着る。(知的さ重圧的な印象を与えることができるため)
初対面の時…白色の服を着る。(清潔感や爽やかな印象を与えることができる)
面接の時…青色の服を着る。(冷静な印象や自分自身の緊張をほぐしてくれる)
「色彩心理学」の全容をお伝えしました。
では、これをどうコーディネートに生かすかを最後にご紹介します。
色彩心理学を使った具体的なコーディネートの手順
具体的には色の組み合わせで見るべきポイントはシンプルに3つです。
①自分の体型(膨張色と収縮色の使い分け)は痩せ型なのかより筋肉質なのかなどを見極める
②相手にどんな印象を与えたいか
③服が見える面積の割合
で決定します。
以下のようなコーディネートのように、基本的にシルエットを綺麗に見せたいなら、アウターやパンツは明度の低い収縮色(黒、紺、灰色)をオススメします。
それとは対照的に、インナーは明るい膨張色にすることで、収縮色のアウターにより、見えるシルエットが狭くなり縦に伸びるように見え、体型が細長く見える効果があります。
先ほどの色彩心理学の理論でいくと、紺色と黒が見える面積の割合が大きいので、「落ち着いていたり、誠実な印象」を相手に与えます。
このコーディネートを先ほどの3ポイントに当てはめてみます。
①細身でさらにその体型を強調したい
②落ち着いていたり、大人っぽい印象を与えたい
③パーカーとパンツが見える面積が大きいため、そこに②の印象を与えるような色を当てはめていく。
こちらは
①細身でさらにその体型を強調したい
②明るい印象と少し落ち着いた印象を同時に与えたい
③まずは見える面積が大きいコートにオレンジ色に近いベージュを当てはめる。
そして大人っぽさと細身を強調するために黒のタートルでベージュとのコントラストを生み、黒いスキニージーンズでコートの明るさのバランスをとり、かつ足の細さをより強調する。
上記は冬や秋の例ですが、春や夏も基本的には同じように3つのポイントで分けて考えれば、色のコーディネートはうまくいきます。
また、秋冬は明度の低い収縮色、春夏は明度の高い膨張色をメインカラーにすると季節感が出て、オススメです。
今回の記事を参考に皆さんも是非コーディネートを楽しんで頂けたら、と思います。
他の人から見た印象は以前と比べて、だいぶ違うはずです。